世界でいちばん美しい龍に会いにいく 【b164aisis03018】

雨乞いの生贄として捧げられた少年と、美しき龍の化身。この出会いは、運命という名の激しい雨雲を呼び寄せる――。

「世界でいちばん美しい龍に会いにいく」は、美麗な描線で紡がれる、切なくも濃厚な人外純愛譚です。本誌初登場となる絵師・チキコ氏の画力は圧巻の一言。ぬめりと滑らかな肌の質感、うっとりと蕩けそうな眼差し、そして絡み合う肢体の一つ一つが、極上のエロティシズムを放ちながらも、どこか儚げな美しさをたたえています。この作品の世界観を、読者は文字通り「視覚」から存分に味わうことができるでしょう。

物語は、供物として捧げられた少年・ハイイロが、目覚めると見知らぬ美女に跨られているところから始まります。彼女の正体は水龍の化身。初対面でありながら、獰猛なまでの愛情と性的な好奇心をもってハイイロに迫るその姿は、非人間的でありながらもどこか純真。戸惑いながらも拒みきれないハイイロの心情が、読む者の共感を誘います。

そして再会後、待ちきれなかったかのように繰り広げられる濃密な情交の数々は、まさにこの作品の真骨頂。龍の持つ強かな生命力と、少年の初々しいがゆえの感覚が交錯し、ページの奥から熱気と吐息が伝わってくるようです。「雨乞い」という儀式的な行為と「性」が見事に融合し、単なる肉体関係ではなく、互いを認め合い、必要とし合う崇高な行為として昇華されていく描写は、読者の心の奥底を揺さぶらずにはおきません。

官能的な表現の裏側に流れるのは、孤独な龍と、役目を背負った少年の、互いを求める純粋な思い。美麗なビジュアルと相まって、読み終えた後には、激しい情動の後に訪れる穏やかな雨のような、満たされた感覚が残るはずです。人外もの、純愛もの、そして何よりも「美しい絵」にこだわる全ての読者に強くお勧めしたい、FANZAで輝く一粒の珠玉の短編です。